糖尿病|山口県宇部市「わただ内科」

糖尿病

身近に潜む「糖尿病」

いまや糖尿病は日本人にとって身近な疾患になっています。しかし、実際に罹患するまでは詳しい症状をご存じない方も多いのではないでしょうか?糖尿病は健康な方でも発症することがあり、実際に糖尿病予備群の方も多く存在している状況です。多飲、多尿、体重減少、疲れやすさなどから始まり、網膜症、腎症、神経障害など深刻な合併症を引き起こすこともあります。糖尿病は早期発見・早期治療が重要です。また、長期的な治療が必要になってきますので、当クリニックでは、患者様に寄り添いながら専門的な検査や治療をご提案します。

糖尿病とは

私たちの体は食べ物を摂取したり、激しい運動をしたりすると、一時的に血糖値が高くなります。正常な状態だと、膵臓からインスリンの分泌が始まり、速やかに糖は分解されて、血糖値も元の水準にまで戻るのが一般的です。
しかし、遺伝、加齢、ストレスなどによって、インスリンの分泌が不足したり、効果が低下したりすると、血糖値が高い状態が続きます。これが糖尿病の発症メカニズムです。常に血糖値が高い状態が続くと、血液を流れる血糖の量が増えてしまい、体がエネルギー不足に陥ります。また各臓器に損傷を与え、脳卒中、心臓病、腎症、網膜症などの糖尿病合併症を引き起こすリスクが高まってしまうのです。

主な対応症状

糖尿病の種類

1型糖尿病(糖尿病全体の2~3%)

1型糖尿病は体の免疫細胞が誤って、膵臓の細胞を攻撃し、インスリンの分泌能力が低下することで起こると言われています。遺伝的もしくは環境的な要因が関係していると考えられています。治療の基本はインスリン注射です。血糖値が上昇すると、生命に危険を及ぼすこともあるので、インスリン自己注射によって血糖値を安定化させます。

2型糖尿病(糖尿病全体の90%以上)

2型糖尿病は、インスリンの分泌や作用が不十分で、高血糖状態が続く疾患です。多くの糖尿病患者は2型糖尿病に分類されます。肥満、運動不足などの環境因子が代表的な要因ですが、それ以外にも複雑かつ多岐にわたる要素が関与しています。そのため、生活習慣の改善や薬物療法など総合的な視点での治療が必要です。

妊娠糖尿病

妊娠中はホルモンバランスが変化し、体内で必要になるインスリン量が増加することがあります。しかしインスリンの生産が追いつかない場合、血糖値の高い状態が続くケースも見られます。これが妊娠糖尿病です。胎児の成長や出産後の母体の健康に影響を及ぼすこともあり、定期的な検査や適切な健康管理が欠かせません。ほとんどの場合、出産後に症状は治まります。

その他

糖尿病は多様な原因により発症することが明らかになっています。具体的には、ステロイドを多用していると、肝臓からの糖の放出が増加することがあります。また疾病によって肝機能に異常が生じると、糖代謝に悪影響を及ぼすことも考えられます。

知っておきたい病気、 糖尿病治療薬の進歩と慢性腎臓病

「泌尿器科の先生から、糖尿病はないけれど腎臓が悪いからと言われて糖尿病の薬を処方されました。」というケースがあります。同様に循環器(心臓・血圧)専門の先生から、糖尿病ではないのですが、糖尿病の薬が処方されたりすることが増えてきました。これらはSGLT2阻害剤と云う比較的新しい糖尿病治療薬の話です。腎臓の糸球体と呼ばれる部分から糖分を尿中に濾過し、それを再吸収しています。そこを阻害し、尿中に余分な糖分を排泄することで、血糖を低下させることを期待された薬剤です。その後この薬を使うことで、血糖改善は当然ながら、さらに直接的に心臓の合併症などを減らすことが証明されました。
また同様に慢性の腎機能低下にも効果がある事が分かり、注目されています。
長年糖尿病の合併症の一つとして糖尿病腎症と云うものが重要視されておりましたが、やはり糖尿病の有無にかかわらず、慢性の腎機能低下にこのSGLT2阻害剤が予防的効果がある事が分かってきました。現在、一般的な慢性腎機能低下をふまえて、慢性腎臓病を以下の様に定義されています。

慢性腎臓病

①尿異常,画像診断,血液,病理で腎障害の存在が明らか.特に0.15 g/gCr 以上の蛋白尿(30 mg/gCr 以上のアルブミン尿)の存在が重要

②GFR<60 mL/分/1.73 m2

① の蛋白尿は以前より、健診などで利用されている検査で、外来などで簡単に検査できます。ただし、様々な状況で陽性になりやすいので、できれば早朝空腹時に検査することをお勧めします。
②のeGFRは、近年様々なところから周知が計られているので耳にされた方も多いかと思います。腎臓が濾過する能力を年齢、性別、体重から特殊計算にて算出したものです。こちらも、現在では特定健診、職場健診などで、測定していますので、かかりつけの先生などに、自分の腎機能の評価を確認しておく事をお勧めします。
一方、世界的にも末期腎不全によるによる透析患者が増加しており,医療経済上も大きな問題です。また、慢性腎臓病は糖尿病,高血圧などの生活習慣病が背景因子となって発症することが多く、メタボリックシンドロームから、進展することが注目されています。
そのため、可能な限り早めに意識して生活習慣の改善に手をつけることが重要です。ただし、飽くまでも慢性の疾患ですので、検査がたまたまある数字を示したからといって、1回で診断できるわけではなく、3ケ月以上同じ状況であることが必要となります。
図は厚生労働省の研究班が公表している、病気に応じた腎疾患対策の図ですが、この中で強調されているのは、かかりつけ医と専門家とのそれぞれの時期に適した連携です。一度かかりつけ医から指摘された方は、他の合併症や病気の進行に合わせてそれぞれ的確なな時期に専門医に相談しながら、対応してゆくことが肝要です。

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